COLUMN
子育ての不安と孤独の理由は人類進化にあり
NHKテレビで特集された子育て企画 『ママたちが非常事態!?』
「子育て」を「科学の視点」から見つめ、客観的に解き明かしていくテレビ番組です。本にまとめられた内容を順次紹介していきます。
チンパンジーと人間の子育て
一人で育てるチンパンジー
人類進化から子育てをひも解こうとする時、人間と共通の祖先をもつチンパンジーの子育てに目を向けてみましょう。
人間に最も近いとされるチンパンジーは、出産・子育てで人間と大きく違う点があります。6年間は母親一人がつきっきりで子供の世話をし、その6年間は出産できないことです。これだけ子育てにかかりきりの母親に反して、チンパンジーの父親はまったく手を出さないそうです。
みんなで育てる人間
いっぽう、人間は毎年でも出産ができます。
700万年前に誕生した人類は、肉食動物に襲われ命を奪われる危険と隣り合わせでした。失われる命が多いため、子孫を残すために多産になったそうです。
多くの子を産み育てるには、みんなで協力して子育てをする必要が生じます。これを「共同養育」と呼びます。この「共同養育」こそが人間本来の子育ての形だったのです。
動物の中で、自分の子供を他者に委ねることができるのは人間だけと言われています。他者を理解し信頼するコミュニケーション能力がある人間は、社会性に秀でた生き物です。だからこそ「共同養育」が可能でもあるのです。
母を苦しめる本能と現代のギャップ
700万年前から続く「共同養育」。元々人間は一人で子育てしない生き物で、他者と協力しながら子育てをする本能が備わっている。
それなのに、現代の日本には育児の手助けをしてくれる共同養育の仲間がおらず、母親一人だけが子育てを担っている。
現代の母親が「育児がつらい」と思うのは当たり前なのではないか。
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